ペナルティキック

サッカーの試合でペナルティキックを蹴るときに、ちょっとヘンな助走をとっているのを見かけたことはないでしょうか。

助走を取って強いボールをどかーん!とキックする、という感じではなく、ちょっとフェイントを入れているような助走のPKですよね。
助走中なのでキックする前の動作なんですが、PKの助走でなんでこんな動きを取り入れているのでしょうか。

その理由を見ていきましょう。

PKのフェイントは助走中ならばOK

PKには細かいルールがあって、キッカーはシュートモーションに入ったらそのままキックをしなければいけません。キックをわざと空振りしたり、途中でキックを止めたりしてはいけないんです。

逆に言えばキックができない距離、すなわち助走をしている最中であればフェイントをしても大丈夫なのです。

実は2008年頃のブラジルではキックフェイントがルールで認められていたそうなのですが、さすがにチームによって解釈が変わってしまうと国際大会では混乱を招く結果となってしまいます。

そのため、2010年ワールドカップの前に「PKでのキックフェイントは禁止」と厳格化された経緯があるんです。

ブルーノ・フェルナンデスのPKを見てみよう

さてPKのルールについて予備知識を入れたところで、プレミアリーグの19-20シーズンの第38節を見てみましょう。

2020年7月27日(月)に行われたレスター×マンチェスター・Uの試合です。

この試合は0-2でマンチェスター・Uがアウェーで勝利を収めた試合なんですが、マンチェスター・Uの1点目を見ていきたいと思います。

マンチェスター・U のブルーノ・フェルナンデスが、ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得したシーンですね。動画の4分04秒付近がPKのシーンなのですが助走に注目して見てみましょう。

小走りで助走を取って、軸足はすんなり置かず、上に”ピョン”と跳ねるように軸足を置いてからシュート体勢に入っていますね。

PKと言えば下の動画のような感じの豪快なシュートをイメージしますが、ブルーノ・フェルナンデスのPKはそうではありませんよね。実はこのようにPKを蹴る選手もたくさんいるんです。

このような動きをしている裏には、きっと何か理由があるはずです。

キーパーのプレジャンプを引き出している

PKを蹴るときに、キーパーが先に動いてくれればキッカーとしては非常に簡単ですよね。先に動いてくれれば逆側にキックすれば、少々コースが甘くなってもほぼ止められることはないでしょう。

そこで軸足を置く前に大きく上に跳ねて、ワンテンポの間を作り出しているんです。その間を作り出してキーパーがプレジャンプをしてくれれば、キーパーは勝手に体勢を崩してくれます。

普通のタイミングでシュートをすれば、キーパーはプレジャンプを行ってシュートに反応しやすくなります。それを逆手にとって、先にキーパーのプレジャンプを引き出すために、軸足を置く前に大きく跳ねるようにシュートモーションに入っていたんです。

プレジャンプについて解説

さて、ここでキーパーが行うプレジャンプについて見ていきたいと思います。

プレジャンプとは、ジャンプの前動作のことを指します。

走り出すときを思い出してもらうとわかりやすいんですが、地面に足を付けた状態から「よーいどん!」で走り出すより、ステップを踏んでから走り出す方が1歩目が動きやすくなります。
しかも素早く、大きな1歩が出せるので動き出すスピードを向上させられるんですよね。

これはテニスやバドミントン、野球の守備など、他のスポーツでも広く行われている予備動作です。

テニスもバドミントンも野球もですが、ボールやシャトルのインパクトの瞬間は目で視認することができます。

ラケットでインパクトした瞬間、ピッチャーが投げたボールを打つ瞬間がそうです。プレジャンプのタイミングは、まさにこの瞬間に行うもので、これらのスポーツはそのタイミングを「打つ人」が変えることはできません。

そのため守備側のプレーヤーは、動き出すための予備動作であるプレジャンプが非常に有効です。

サッカーのPKでもキーパーのプレジャンプが行われているのは、動き出しの大きさや反応速度を上げるためなんです。

サッカーではプレジャンプがメリットばかりではない

サッカーのゴールキーパー

ゴールキーパーはプレジャンプがメリットにならないときもあります。それはキック直前にワンテンポ入れられてしまうと、体重をどちらかに動かされてしまうんですね。

キッカーにとってはキーパーが重心を崩してくれれば、あとは逆にシュートをするだけ。これこそまさに「ヘンな助走」の正体でもある、軸足を置く前に上に跳ねる動作を入れる理由なのです。

そのためゴールキーパーのプレジャンプはしないように指導するところもあるほどです。タイミングを合わせて左右どちらかに飛びたいゴールキーパーの心理が、逆にデメリットとなることもあるんです。

軸足をワンテンポ遅く置いてプレジャンプをさせる技

PKの助走でキック直前に大きく跳ねる動作を初めて見たときは、なんでこんな助走の取り方をするのかちょっと疑問に思っていた方も多いのではないでしょうか。

でもキーパーのプレジャンプを引き出すのが理由と分かれば、なるほど納得ですね。またプレジャンプをさせないまでも重心をどちらかに傾けさせるだけでも、かなり効果的な動きになるはずです。

PKを見ていると、キーパーが一歩も動けずに得点するシーンも見られます。これはキックの前に重心が逆に動かされてしまった証拠でもあるんですよね。

PKの助走にはちゃんと意味がある!

サッカーを全く知らない人がみれば「ちょっとヘン」にも見える、独特の助走の取り方。

PKの助走をあえて変則的にして、キックのタイミングをずらしているのは相手キーパーとの駆け引きがあったんですね。
キッカーが圧倒的に有利と言われるPKですが、より確実にゴールを決めるために変則的な助走が行われています。

PKの場面になったらそんなところにも注目して観戦してみるのも楽しいですよ。また逆にPKのキッカーになったら、軸足を置く前にワンテンポの”間”を入れてみてはいかがでしょうか。

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