サッカーにおいて「ハンド」の判定は、試合の流れを大きく左右する可能性のあるものですよね。
実はこのハンドの判定ですが、2020-21シーズンに入る前までは明確な規定がされていませんでした。そのためハンドの判定が取られるかどうかは審判次第という部分もあったのです。
しかしハンドの判定を巡って度々議論となったシーンがあったことを受けたからなのか、2020-21シーズンを前にハンドについて明確な規定がされました。
新たに規定された「ハンドの判定」について、どのように決められたのか見てみたいと思います。
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サッカーのルールを決めているIFAB
ハンドの判定を見る前に、このようなルール改正はどこが行っているのがチェックしてみましょう。
それはIFABと呼ばれる国際サッカー評議会と言うところでルールが決められています。実はこのIFABはサッカーのルールを決める唯一の機関なのです。
このハンドに関する規定は2020年2月29日の第134回年次総会で決定されました。このとき日本サッカー協会(JFA)からも会長が年次総会に参加しています。
これまでは腕と肩のラインが明文化されていなかった
これまでサッカーの試合では、腕にボールが当たればハンド。肩にボールが当たればハンドではない、とされてはいたのです。
でも「じゃ、どこからが腕でどこからが肩なの?」と聞かれたときにちょっと困ってしまう事態に。
なぜなら肩と腕の境目があいまいで、ルールにより決まった文言がなかったからなんですね。
ハンドになるのは「脇の下の最も奥の位置まで」
ついにルールで明文化されたハンドになる「腕」の定義。
それは「脇の下の最も奥の位置まで」とされました。イラストで図解をしてありますので、そちらの方が確認しやすいかもしれませんね。
故意のハンドでない場合はどうなる?
サッカーでもよくある至近距離からのシュートなどによって、”手で止めた”のではなく、手に当たってしまった場合。
意図的に手で止めたような場面ではハンドの反則が取られるのですが、たまたま当たってしまったような場合では、「直後」に得点となるようなプレーにならなければハンドとはならないとされています。
「直後」の線引きは難しそうですが、手に当たってこぼれたボールをダイレクトでゴールしたり、手に当たったボールが直接ゴールに入ったりしたようなケースではハンドが取られます。
逆に偶発的に手に当たったとしても、ボールがある程度移動した場合や、いくつかのプレーを挟んだ場合にはハンドの反則は取られない、ということなのです。
ハンドについて解説された動画
この動画の2分01秒のシーンを見てみましょう。このとき、手に当たってはいますがわざとではなく、手に当たってしまったという状況です。
その後、ドリブルでボールを運んでゴール。この場合には、手に当たったことが直接のゴールの要因ではないとして、ハンドの反則にはならないんですね。
ボールが手に触れた直後、という定義についても動画の2分20秒付近で解説されています。
ここで気になるプレーがあるので見ていきましょう。
動画の2分01秒、ボールが手に当たったときに、周囲の選手数人が手を上げて「ハンドである」というアピールをしています。ここでDFの選手がスピードを落としているのが分かります。しかしプレーは止まることはなく、そのままゴールを決められてしまっていますよね。
アピールは大切ですがプレーは続いているため、審判の笛が鳴るまでは安心できないのです。
逆に手に当たったとしても、直後に得点につながらないようなプレーでは、プレーが続行される可能性もあります。笛が鳴るまでボールを追う姿勢は崩さないようにプレーヤーは気を抜かないようにしたいものですね。
ハンドの判定はこれまでも物議を醸してきた
ハンドの判定はこれまでも数々の物議を醸してきたルールの1つ。それが明文化され、さらにVARも浸透しつつあるサッカー界には明確な線引きができたと考えるべきでしょう。
しかし度々ハンドの判定について議論が巻き起こるケースも少なくありません。
サッカーには付き物とも言えるハンド。
今回のルール改正において、批判的な意見も散見されています。
なかなか難しいルールではありますが、これからもサッカーのルール改正に合わせて柔軟に対応できるように知っておけるといいですね。