ゴール前にフリーで走り込んで周りに相手DFもGKもいない。後はボールを流し込むだけ!
こんなおいしい場面、サッカーを長いことやっていれば一度や二度はありますよね。
そしてそんなおいしい場面に出くわしながらも、シュートを思いっきりふかして外してしまった。こんな苦い経験を持つ人も中にはいるでしょう。
誰が見たって簡単に流し込むだけのシュートを外してしまった日には、チームメイトからの冷たい視線が突き刺さります。
さらに監督が怖くてベンチなんかはとても見れませんよね。
さて、正直なところ「簡単」にも見える、フリーの場面でのシュートなんですが、一体なぜふかしてしまうのでしょうか。その原因を見ていきたいと思います。
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おいしい場面こそインサイドキックになる
ゴール前、ドフリー、パスのタイミングや高さもばっちり!さらにキーパーも間に合ってない。
こんな場面でいいクロスが入ってきたら、もうあとはボールに合わせるだけです。
「チョン」と足を出しさえすれば得点を決められる、またとないチャンスですよね。
あなたがそんなおいしい場面でクロスをもらったら、キックは何を選択しますか?
僕ならもちろんインサイドキックを選びます。だって一番正確にミートできますし、ゴール前だから強いシュートや距離もいらないんですよ?
おそらくですが、こんなおいしい場面だからこそみんながインサイドキックを選択するはずです。
慎重にキックを狙ってもふかしてしまう!?
こちらの動画は2019-20UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝 マンチェスター・C 対 リヨンの一戦での一幕です。
さて、それではそんなおいしいゴール直前のシーンをご覧いただきましょう。
※おいしいシーンは動画の8分25秒付近をご覧ください。
後半85分、マンチェスター・Cはジェズスからの低いクロスを、スターリングが合わせ……られない!
クロスボールに合わせに行ったスターリングは、目の前のゴールよりもさらに上へ大きくシュートをふかしてしまっています。スターリングは何が起こったか分からない顔をしていますし、グアルディオラ監督も頭を抱えて崩れ落ちています。
そりゃ後半85分で、一発勝負のチャンピオンズリーグ。1-2とリヨンに1点のリードを許している展開。
誰がどう考えたって絶対に外せないわけですよ。
スターリングだってそう考えたはずです。そこでスターリングが選択したキックがインサイドキックだったわけですね。
慎重に狙ったはずなのに、ふかして外してしまったんです。同点のチャンスをふいにしてしまったマンチェスター・Cはリヨンにさらに追加点を入れられて、チャンピオンズリーグを敗退してしまいます。
こんな悲劇が自分に降りかかってきたらと思うと、恐ろしいですね。
インサイドキックって実はふかしやすい
さてスターリングが選択したこのインサイドキック。方向性も良くて、ミートしやすいキックであることは間違いありません。
「慎重に」と考えてインサイドキックを選択したのはあながち間違いではないんですよ。ただインサイドキックってどうしてもふかしやすいという特徴があるんです。
インサイドでのパス練習を思い浮かべてみてください。相手にインサイドでパスを出すだけ、という簡単なキックです。
狙った場所にちゃんとパスを出すにはインサイドで面を作って、相手に真っ直ぐ押し出すようにキックしますよね。このとき体の軸はちょっとだけ後ろに傾いていませんか?
まさにこの形で動画ではボールに当てに行っているんですよ。
ボールの中心よりも下に足が入ってしまっているので、当然ボールは上へ大きく飛び出します。ゴールまでの距離およそ2メートル。チャンピオンズリーグに出てくるようなチームのプロ選手ですら、インサイドキックをふかしてしまうんです。
インサイドキックをふかさないためには膝とミートの位置
さてインサイドキックをふかさないために、一体どこに注意すればいいのかを見てみましょう。
それはズバリ膝とミートする足の位置関係です。
足の動きを正面から見てみると、インサイドキックは膝を支点にした振り子のような運動をしています。
きちんとボールを捉えることが前提ではありますが、ボールをキックする位置が膝の真下ならばボールは真っ直ぐ前へ。膝よりもキック位置が後ろならばボールは下方向へと飛んでいきます。
ここで気を付けたいのが体の軸の傾きです。キックのときに後ろに軸が傾いてしまうと、インパクトでは絶対に足の面が上方向を向いてしまいます。
体の軸を立てて、もしくは前傾でインサイドキックをミートすべきなのです。体の軸さえ立っているか前傾していれば、ボールをインパクトする足の位置が膝よりも前に出てくることはありません。
踏み込む軸足はボールの真横に
クロスに対して体の軸を立てて、膝の真下から少し後ろでインパクトすればインサイドキックはふかさないとわかりましたが、実際にそんなことを考えながらプレーしている余裕はありません。
そこである1つのポイントに注目してみたいと思います。これさえ直れば、体の軸は立ってきますし、インパクトのポイントが膝の下に入ってくるようになってきます。
それが踏み込む軸足です。
軸足がインパクトするポイントよりも後ろにあるから、体の軸が後ろに傾きます。
体の軸が後ろに傾くから、膝よりも足が前に出てきます。
これが何を意味するかというと、インサイドキックの面が上方向に向いてしまうのです。
軸足を置くポイントは、ボールの真横を意識してみましょう。
たったこれだけで体の軸が立ってきますので、インサイドでふかすことは大きく減ってきますよ。
決定機でもうシュートはふかさない!
「あそこでアイツが決めていれば……」
なんて言われかねない決定機でのシュートミス。自分のミスで上への大会の切符を逃してしまったとか、大切な試合を落としてしまったとか、そんな切ない思いはしたくありませんよね。
決定機になればなるほど慎重になるのは悪い選択ではありません。だからこそシュートをふかしてしまう理由を頭の中で整理して、練習につなげておきたいものです。
クロスにインサイドで合わせる場合、軸足はボールの真横に!これを合言葉にしていきましょう。